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?B動物相手の仕事?C商売上での仕事ちらしの効果はすぐに現れている。ちなみに中学生が引き受けた仕事の内容は、次にあげるように多種多様である。
?@廃品回収?A港の掃除?B児童相手の読み聞かせ?C児童センターの文化祭の手伝い?D保育園の砂の入れ替え?E公民館での古紙や空き缶の仕分け、などである。ボランティア隊は電話一本で出動する。この活動は、生徒たちにどんな体験をさせたのであろうか。生徒たちの声を聞くと「すっきりした」「おもしろかった」「汗をいっぱいかいた」「お礼を言われたことでいい気分になれた」などの感想があがってきている。
地域の活動に参加することで、生徒自身が変化しているのがよい。そして、このボランティア隊はクラス単位で行ったことがよい。ややもすると日本の学校では、ひとついいアイデアがあると「右ならえ」で学校全体でしがちである。
ボランティアで何をするかは、個人一人ひとり違ってよい。もし学校で行うならグループ単位か、クラス単位にとどめるのが個性を出しやすい。
この事例が成功したのは、ひとつに「出前」という発想を生かしたことである。こうしたことは「出前落語」「出前講座」ということにも生かされている。
二つ目に、活動でできることとできないことを区別したことである。いいことだからなんでもやろうとする。それでは長続きはしない。この事例では、「生き物の世話」や「危険な仕事」という4つの種類の仕事を断ったことが重要である。
三つ目の良さとして、活動する地域(学区)に限定し、活動人数をクラスという小さな単位に絞ったことが指摘できる。それぞれの集団としての個性を認めることが自主性を育てるのである。
?Aチャリティウォークで寄付する
3年前ドイツの中等学校を訪問する機会があった。その中で学校としてユニークなボランティア活動をしていたところがある。ここでのボランティア活動は、学校行事の一つとして行っているのが特徴的である。
10月2日にチャリティウォークを行っている。これは生徒たちが5〜20キロメートルの距離に挑戦し、歩いた距離の証明書を教師からもらう。そして、証明書と交換に両親や近所のパン屋さんや八百屋さんなどから、歩いた分の寄付金をもらうというシステムである。
寄付金が約3万マルク集まり、デュッセルドルフのエイズの子どもたちの基金に寄付している。生徒は自分の体調と体力を考えて歩く距離を決める。それは強制ではない。そして歩いた分だけ大人から寄付金をもらう。
まさにこのボランティア活動は一石二鳥である。体力がつくのは当然であるが、寄付金を集める行動を通して他人とかかわる方法を身につける。
3)「体験」活動で自信を持たせる
自信は活力の源である。そして、自主性の泉でもある。ところが、中・高校生は身体的にも一番自信を持ってよい時期だし、エネルギーもあふれる時期なのに、なぜか活力が見られない。彼らが自信を持てないのは、一つの学業成績に起因している。もう一つは、「体験」活動の不足から自信を持つチャンスを身につけてこなかったからである。
日本の青少年は学業成績のよしあしで、自己像を描く習性が身についている。残念ながら、

 

 

 

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